脳を騙して目標達成(「速く弾けない!」に効くアプローチ)

以下の譜例は生徒さんが発表会で弾くために持ってきたもので、テンポはAllegro(♩=132〜136くらいかな)です。

上海紅茶館の編曲譜。本記事内では譜例とする。
原曲:上海紅茶館(Zun作曲)

パッセージの途中まで左手が駆け上がることで、右手のポジション移動をなるべく抑える方向性で、指番号を定めました。これで素早く手が動くはず。

そこまでは良かったのですが…

「先生…。☠️テンポがあがらないです☠️」

という悲痛な訴えをもらって、特別レッスンをしました。

…これね、いつも言ってることなんですけど「速いパッセージを弾きたい」とか「テンポをあげたい」とか考えちゃダメです。無理です。なぜならそのオーダーに対して脳は明確に拒絶することが多いからです。

脳は全体の処理量がわからない課題を延々やらされることを嫌うんだと思います。(脳神経学勉強してないから若干トーンダウン)明確な成果が出ることしか脳はやってくれません。

僕は子どもの頃から音大に行くまでずっと誤解していたことがあります。以下の二点です。

  1. ピアノは手で弾くものだから、鍛錬によって手を鍛えなければならない。
  2. 弾けないのは練習量が足りないからだ。師の提示してくれたやり方で何度も何度も練習をすれば必ず道は拓ける。拓けなければそれは練習が足りないか、お前に才能がないからだ!未熟者!襟を正せ!

怖いですね…。誰に言われたでもなく、そう信念を持っていたわけです。セルフブラック企業みたいですね。どうしても昭和生まれで田舎者なんでね。こういうマッチョな生き方がデフォルトだったんですよ。上記の考えは明確に有害です。

じゃあ今どんな指導を僕はしているでしょうか。

  1. ピアノは脳が命令を出して弾くものだから、脳を訓練しなければ弾けない。鍛錬や反復練習は、脳と身体の連携を最適化するために行うものである。
  2. 反復練習を繰り返しても成果があがらない場合はアプローチの方法がよくない。講師やいいプレイヤーに意見を求めると解決が容易になることが多い。見直すべきは課題の切り分けと練習方法の選択。

「テンポをあげたい」というオーダーは実は複雑

ここで譜例の話に戻りましょう「テンポを上げる」ということは、一見単純なことに聞こえるんですが、実はそうでもないのです。

テンポを大幅に上げる際には、以下のような事柄を処理しなければいけません。

  • 手や身体のポジション移動の確認をし、これを学習して習熟すること
  • 運指の最適化をし、決めた運指を学習して習熟すること
  • 拍の取り方を修正し、内在化させること
  • 演奏者として完成イメージを明確に内在化させること

これらの課題を何度も反復練習をすることだけで突破するということは、必ずしも不可能ではありませんが、時間も忍耐も半端なくかかります。

長篠の戦いの屏風絵。
誰だか忘れましたが長篠の戦いで武田軍の中に、根性で第1の柵を乗り越えた武将がいましたね

どうせならアプローチの仕方を変えて脳に受け入れやすい形で仕事をしてもらうほうがいいと思いませんか?あるいは同じ時間を練習に費やすなら、解釈やフレージングなどに関係した表現を磨く練習に時間を費やしたほうがいいと思いませんか?

課題を切り分ける

この8小節を弾くテンポをあげることに関してカリキュラムを組みましょう。

第1段階 運指に馴れ、1拍の中の指の動きをスムーズにする。
第2段階 拍の取り方を変える。

第1段階

譜例に指番号などを振った画像

譜例に必要な指番号と、どちらの手で弾くかなどを書き込みました。

決定した運指に馴れるためにはリズム練習が有効です。以下に挙げる3つのリズムパターンは4音で最小単位(拍)を形成するようなパッセージに特に有効です。

ゆっくり正確に以下のリズムを弾けるように注意深く練習します。3パターンにすることで、速く正確に処理する場所を各拍内で1箇所に絞ることができ、難易度が下がります。

この時点で全体の速度やイメージにフォーカスする必要はありません。

3パターンのリズム練習の譜例
譜例のような16分音符の速いパッセージの習熟に有効なリズム練習

これによって拍内の運指をスムーズに行う訓練を脳にします

ここまで脳は、拍の中でどの指を使ってどの音を弾くかに習熟し、素早く正確に動くことを学習します。

3つのパターンに慣れたらスタッカートなどで弾いてみるのも習熟にプラスに働きます。

第2段階

次に拍感を修正していきます。

弾けない早いパッセージをゆっくり譜読みする際に、最終的には4拍で拍を取りたいところを、八拍で取ってしまったりすることはよくあります。

練習の段階では仕方がないにせよ、最終的に四拍子の曲は四拍で拍を取るべきです。

四拍子を4拍で取ることを図示した譜例

どこかで聞いたことがあるかもしれませんが、四拍子の曲は1拍目が最も重く、強拍と言います。3拍目は2番目に重く中強拍といいます。

拍の取り方をイメージ化した図

こんな感じですね。(わかりにくかったらすみません…。)この拍感を強く感じながら弾いていきます。決して速く弾こうと思わないこと。最初はゆっくりでもいいのです。

速く弾くのではなく拍感を大事にして弾く。
速く弾くのではなく拍感を大事にして弾く。
速く弾くのではなく拍感を大事にして弾く。

さあご一緒に!

この際以下の点に注意して弾くとさらに良いです。

  • 強拍は強く弾くのではなく「深く」感じて弾くこと。(音が汚くなるのを防ぎます。叩きつけるような音は避けましょう。)
  • 4拍目は短くなりがちなのでたっぷりとって、準備をしてから1拍目に向かうこと。(テンポが勝手に上がって自爆するのを防ぎ、自然な感じで1拍目を取ることができるようになります。)

この練習を通じて拍感をきちんと感じながら弾けるようになると、前方にはっきりと完成イメージが実感できます。

この完成イメージが見えたら、徐々に拍のテンポをあげていけばなぜか弾けるようになります。

ホントです。試してみてね。

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